《イントロダクション》福島県猪苗代町中ノ沢温泉に、突如として謎の怪獣が現れる。逃げ惑う街の人々、その前に立ちはだかるのは猪苗代町非公認「大怪獣イナワシロン」!!
この特撮映画『大怪獣イナワシロン』は、プロの映像制作会社による商業作品ではありません。
特撮映画が大好きな地元の人々、いわば「特撮素人のオジさんたち」が本気で挑んだ、
地域発・手作りの特撮映画
なんです。

そして特撮映画『大怪獣イナワシロン』が完成しました。私も制作に携わっていたので感慨深いものがあります。
本記事では、イナワシロンという怪獣の正体、ソフビ誕生の経緯、クラウドファンディングによる映像化、そして映画完成までの道のりを紹介します。

福島・猪苗代に現れた非公認大怪獣「イナワシロン」とは?
イナワシロンは、福島県猪苗代町にある中ノ沢温泉の老舗旅館「磐梯西村屋」で誕生したオリジナル怪獣です。
最大の特徴は、映像作品よりも先にソフトビニール人形(ソフビ)が誕生した点にあります。
一般的には、映画やテレビ作品が先に制作され、そのキャラクター商品としてソフビが作られるケースがほとんどですがイナワシロンはその逆の流れで生まれました。
イナワシロン誕生のきっかけ
イナワシロン誕生の背景には、中ノ沢温泉「磐梯西村屋」のソフビ人形を愛する西村氏とソフビ文化を愛する関係者の存在がありました。
「旅館に来た人が、ここでしか買えない怪獣ソフビを手に取る」
そんな発想から、2019年10月26日イナワシロンのソフビは中ノ沢温泉で販売が開始されました。
[ソフビ人形イナワシロンの特徴]イナワシロンのソフビは、かわいらしい丸みを帯びた独特のフォルムが印象的です。
円盤状の体に脚が生えたようなシルエットで、一般的な恐怖を強調した怪獣とはちがい、とても愛嬌のある表情をしています。
体には中ノ沢温泉の周りにある猪苗代湖や磐梯山がデザインされています。
「怖い怪獣」ではなく「親しみやすいご当地怪獣」として造形されています。

出典:公益財団法人福島観光物物産交流協会HP
イナワシロンの実際のサイズは直径約45kmにもなります。
ソフビから映画へ!映像化大作戦の始まり
ソフビとして誕生したイナワシロンは、
「動く姿を見たい」
「映像で見たい」
という声を受け、特撮映画化プロジェクトへと発展します。
制作費用を集める手段として選ばれたのが、クラウドファンディングでした。
映像化プロジェクトは、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」にて実施され目標金額を見事クリアしました。
全国から多くの支援が集まったおかげでイナワシロンの特撮映画は、実際の制作段階へと進むことができました。
特撮制作素人のオジさんたちによる挑戦
制作メンバーの中心となったのは、地元で働く社会人たちです。
おじさんたちです!
このプロジェクトのリーダー的存在として参加したのが、漫才コンビ「母心」の関あつし氏です。
東京だけでなく福島でも活動していて福島内では広く知られている人物です。
関氏の呼びかけで集まったのが、銀行員、花火師、リフォーム業、造形が得意な主婦、模型制作ができるモデラーなど多様な職業のメンバーです。
それぞれの専門分野を生かしながら、経費管理、ミニチュア制作、爆破演出、撮影機材の準備などを分担して進められました。
しかし、特撮撮影の知識は素人です。やはり特撮のプロの力が必要です。救世主として現れたのが、特撮映像制作を職業として長年わたり特撮業界を歩んできた名古屋在住の喜井竜児氏に監督をお願いしました。
特撮映像制作を職業とする喜井氏は愛知県在住のテレビディレクターでした。特撮番組を制作していたことがあり、現在はアーマージャック・プロジェクト(アマプロ)の代表です。
特撮監督喜井さんに手取り足取り特撮映画の作り方を基本から教わりました。
私たちのレベルに合わせた言葉で説明してくれる優しい喜井さん(涙)
素晴らしい人材が揃ったところで、オジさんたちは猪苗代町の中ノ沢温泉西村屋さんの地下室を撮影部屋として借りました。
この作品は、人形を自分の手を突っ込んで動きをつけながら撮影するという昔からあるシンプルな撮影方法です。わかりやすく言うと、ウルトラマンやゴジラの着ぐるみに演者が入って模型のビルや家を実際に壊すということを小さい人形でやるわけです。
あえてこれをしたかったんです!!
オジさんになった私たちが、小さいころ見ていた特撮を改めて表現したいということなんです。

撮影風景
喜井監督の指導のもと、撮影は中ノ沢温泉・磐梯西村屋の地下室を拠点に行われました。

昔ながらの特撮技法へのこだわりました。
『大怪獣イナワシロン』ではあえて最新CGに頼らず、昔ながらのアナログ特撮技法が採用されています。
人形を手で操演する撮影方法やミニチュア建物を実際に壊す演出、カメラアングルとカット割りの工夫など特撮監督喜井さんに手取り足取り特撮映画の作り方を基本から教わりました。





これは、制作メンバーが子どもの頃に見ていたウルトラマンやゴジラ作品へのリスペクトでもありました。
特撮シーンの撮影が終わると別日に演技パートの撮影です。怪獣映画には逃げ惑う人々が必要ですからね。ここも喜井監督のもと進められました。



撮影の他にもいろいろやることがあります。
参加者のお弁当の手配、エキストラの方の誘導や案内など。
オジさんばかりと言っても中には女性の方もいます。お弁当とかの準備は女性ならではの気遣いがあり、とても助かりました。
15分ほどの作品を2日間かけて撮影しました。
撮影が終わったら今度は編集です。
効果音などの音入れ、ナレーション録音、作中流れる曲の作曲などやることが多いです。
ここらへんはすべてプロの方々も協力してくれました。
そして堂々の完成となりました。
完成と初上映
完成した特撮映画『大怪獣イナワシロン』は、2022年8月28日福島県郡山市で開催された第59回日本SF大会(F-CON)にて初上映されました。

上映内容は、本編約15分に加え、制作過程を追ったメイキング映像約60分でした。
ソフビから始まった地域発特撮プロジェクト
イナワシロンは、最初から映画を目指して生まれた怪獣ではありませんでした。
一体のソフビ人形から、
人と人のつながり
地域への想い
特撮への情熱
が生まれ、これらが融合した結果が特撮映画という形に結実しました。
イナワシロンは
「地域から生まれ、地域の手で育てられた怪獣」
でなんです。
福島県の猪苗代から生まれたこの大怪獣がこれからどのような歩みを見せるのか?
福島県猪苗代町にある中ノ沢温泉磐梯西村屋の西村さんと日本きっかけデパートさんのソフビ愛、そして関あつしさんの特撮愛から生まれた「ソフビ人形イナワシロン」と「特撮映画大怪獣イナワシロン」これからの展開が楽しみです!
その展開を一歩一歩を見守っていきたいと思います。

自主怪獣映画選手権で須賀川賞を受賞しました!

第24回全国自主怪獣映画選手権にて「須賀川賞」をいただきました!
開催地であった福島県須賀川市にちなんだ賞です。


全国では多くの方が怪獣映画を趣味などで制作していることに驚きました。

